1995年(平成7年)1月17日(火)、兵庫県南部で発生した阪神大震災は、6,434名が亡くなる非常に大きな災害でした。
大学業界では、1月のセンター試験、2月の一般入試や国公立大学の二次試験が行われる時期であり、その時期にこのような大災害が起こってしまったのは、大学関係者・受験生ともに非常に大変な年だったと思います。
今後、首都圏直下地震や南海トラフ地震の可能性が取り沙汰されるなか、このような大災害が起こった際、どのような対応になったのかをまとめてみました。
阪神大震災の年のセンター試験は中止だった?
1995年のセンター試験は1月14日(土)・15日(日)に実施されており、阪神大震災が起こった1月17日はその2日後でした。
センター試験の問題は新聞に掲載されていますし、当時は現代のようにインターネットもそれほど発達していなかったことから、受験生の方々は自己採点を実施していた期間だったと思います。
過去、センター試験が全国一律で中止になったことは無く、もし阪神大震災がセンター試験期間と重複していたら、中止もしくは2月などに延期されて実施されていたと思われます。
2022年の大学入学共通テスト(旧・センター試験)でも、暴風雪で中止になった会場などもありましたが、追試験日での実施(1月末)となっていました。
例年、追試験は受験者数が非常に少ないので会場確保や実施人員も本試験の比にならないぐらい縮小して実施していますので、本試験を追試験で吸収するということが物理的に可能だったのかは疑問です。
そうなってくると、センター試験の延期・中止という判断となった可能性もあり、災害対応に加えて、社会への混乱の影響が非常に大きかった可能性は高いです。
阪神大震災の年の大学入試は中止だった?
センター試験は行われた阪神大震災でありますが、それ以降に続く私立大学の一般入試や国公立大学の二次試験など、物理的に実施が不可能と思われている状況が続きました。
現在のようにネット出願なども無い時代ですし、主な連絡手段は電話でしたから、この当時の大学職員の先輩方は非常にご苦労されたことと思います。
実際にどのような対応や検討が行われていたかは、神戸市外国語大学の冊子が詳しく、各大学や民間企業が協力して実行されたことが読み取れました。
- 大学は休講となり、通常は1月末に実施される定期試験は実施しない
- 2月末に実施予定だった大学独自の二次試験は、日程を変更して神戸市外国語大学と大阪市立大学で実施する
- 震災で学習時間を確保できない受験生も多いことから、特別入試を実施する
当時の文部省や被災各大学が、受験生の不利にならないようにさまざまな手段を講じていたことがわかりました。
また、大学入試や定期試験の実施にあたっては、現在のようにインターネットがほぼない時代であった為、新聞広告や雑誌広告を活用されていたようです。
兵庫県にあり自身も大きな被害を受けた関西学院大学の資料に、当時の新聞広告が保存されています。
3月には文部省のガイドラインもあり、被災地域の高校生を対象に特別な入試が実施されるとの記載もあり、従来の試験+新規の入試問題を作成するなど、1月17日以降非常に対応が大変だった記録が残されていました。
関西学院大学の資料を読んでいると、
2月1日、西宮公同教会を拠点とした日本基督教団救援活動センターの代表者らが、(関西学院大学の)災害対策本部会議に乱入し、出席者を軟禁のうえ、ナイフをふりかざすなどして仮設住宅建設のための土地提供を要求。
というとんでもない事件まで発生していました・・・。
地震はこのあと起きるかも知れませんから、日頃の準備が重要ということを、改めて資料を読んでそう感じる次第です。