そんな疑問にお答えします。
本記事の内容
- 学生との締め切りをめぐるトラブルは大学あるある
- 保護者まで出てくることも多くクレーム処理対応も大学職員の仕事
2020年1月10日、大学職員的には衝撃的な時間が発生しました。
『キャンパス内で教員が学生に刺される』
という驚きの事件です。
一夜明けて、事実関係が少し明らかになってきましたので、現役大学職員的な視点から問題を考えていきたいと思います。
今回は殺人未遂事件まで発展してしまいましたが、この手の学生トラブルは大学あるあるなのです。
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名城大学准教授殺人未遂の概要【犯人は大学生】
10日午後4時5分ごろ、名古屋市天白区塩釜口1の501の名城大天白キャンパス研究実験棟1階の研究室で、男が40代ぐらいの男性准教授をはさみのようなもので刺した。大学職員の女性が午後4時10分ごろ、「先生が刺された。意識はある」と119番した。
昨日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
大学教員が学内で学生に刺されるという殺人未遂事件。
事件現場となった名城大学は名古屋の総合大学であり、在籍人数も多い大手私立大学です。
キャンパス内で大学教員が刺されたと聞き、とても驚いたと同時に、まず現役大学職員として感じたのは、『犯人は理系なのかな?』ということ。
それは、理系に偏見がある訳ではなく、私自身が勤務する大学でも相対的に理系学生とのトラブルが多く報告されているからです。
名城大学の准教授刺傷事件 レポート提出めぐりトラブルか
本日のニュースでは、このようにレポートのトラブルであると報道されていました。
学生と大学(大学職員や教員)にとって、締め切りをめぐるトラブルは多いです。
印象的には、人間関係をめぐるトラブルは理系のほうが多く、締め切りをめぐるトラブルは文理問わずにあるという感じでしょうか。
特に、理系の場合は卒業研究にむけた『研究室』において大学院生や教員との関わりが文系よりも密接であり、トラブルに発展したり人間関係での問題を抱えていたりします。
今回の事件の場合は、ただ単に教員と受講生によるレポート提出締め切りの問題なのか、研究室所属の学生とのトラブルなのかは不明ですが、大学職員的にはこれらの問題を想像してしまいます。
今回の名城大学における殺人未遂事件のニュースを読みながら、現役大学職員が学生トラブルについて考えてみました。
学生との締め切りをめぐるトラブルは大学あるある
学生とのトラブルのなかでも、締め切りをめぐるものは大学あるあるです。
そもそも、大学が設定した締め切りに提出できていないのは学生なので大学に非はないのですが、学生はなんとか受け取ってもらおうとしてあの手この手を使ってきます。
こんなの「レポート提出をめぐるトラブル」じゃなくて単なる逆上じゃないか。受信料徴収しにいって刺されたら「受信料をめぐるトラブル」というのだろうか。まあそれはトラブルっぽいかも…
名城大学の准教授刺傷事件 レポート提出めぐりトラブルか | NHKニュース https://t.co/2ljwnkI3ZR
— ミサンザイ 「天皇を旅する本」 「まんが東京ご縁起めぐり」 (@katsunomisanzai) January 11, 2020
まあ、締め切りについてはこのTweetどおり「トラブル」ってよりも「逆上」なんですよね・・・。
大学の場合、1人の学生のレポートを提出締め切り後に受け取ってしまったら、それ以降の学生も受け取らないといけなくなり、際限がなくなります。
なので、1秒でも締切りを過ぎたらアウトとするのが普通であり、それをやるのが大学職員の仕事であることが多い為、嫌われ役になる必要もあります。
そのようなクレーム(というか理不尽な要求)対応料も年収に入っていると思えば、別に大したことはないのですが。
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例えば、卒業論文の提出についても、1月末の17時までに教務部へ提出してくださいというように設定されていますが、毎年それを過ぎる学生がいます。
どうしても学生のうちはギリギリでやってもなんとかなっちゃう場合が多く、その経験からギリギリまで卒論をやって提出しようとしたらプリンタトラブルでうまく印刷できず・・・
みたいなことも大学あるあるです。
大手企業に内定が決まっていて、あとは卒論の提出を行うだけで、卒論提出が5秒ぐらい遅れて卒論できなかった学生をいままで数人みてきました。
それぐらい、大学職員の締切りは厳格です。
また、締切りには厳格に守られるものと、裏でなんとかなってしまうものが存在します。
絶対に守られる締切り
- 卒業論文の提出
- 定期試験に代わるレポートの提出
担当者の裁量でなんとかなる締切り
- 一括受付を行わないレポート各種(例:授業担当教員が「来週金曜日までに研究室へ提出に来るように」というような大学を通さない提出物)
卒業論文や定期試験に代わるレポートの提出の場合、提出先が教員ではなく事務であることが多く、教務部などで一括受付処理をしています。
この場合、締切直前には大学職員が複数名が電子時計を持って待機しており、衆人環視のもとで締切り判断を行いますから、締切り後に受け付けるということが不可能です。
逆に、一括で受付処理を行わないレポートの場合、受取り担当教員の裁量でなんとかなることも有り、そこは担当者次第といった感じです。
その後の調べで、事件の直前、野原容疑者が、レポートの提出が期限に間に合わないことを謝罪しに准教授がいる研究室を訪ねていたことが、捜査関係者への取材でわかりました。
10日がレポートの提出期限で、捜査関係者によりますと、野原容疑者は調べに対し「単位をあげないと言われ腹が立ち、何度も刺した」と供述しているということです。
今回の名城大学の事件の場合、10日の締切りに間に合わないことを謝罪しにいったとあり、統一受付処理を行うレポートなのかどうかの判断はつきません。
ただ、名城大学の学年暦を見ると16日〜定期試験が始まるとなっており、その一週間前の10日がレポート締切日であった場合、統一レポートである可能性も考えられます。
統一レポートの場合は、授業担当教員が被害者教員であり、学生は統一提出締切り日に間に合わないことを謝罪に行って(事件日が10日でレポート提出締切日も10日、事件時間が午後4時であるが、大学関係の提出日は17時とすることが多い為、締切にはまだ達してないけどそもそも完成が間に合わなかった?)、口論になったとありました。
統一レポートの場合は教員が直接受け取らない場合も多く(総合大学は受講者が多いので、事務で統一して受付する処理を行うことが多い)、締切日当日にそんなことを言われても困るというのが大学関係者の心情です。
また、担当次第とはいっても、締切に厳格な教員も多いですから、1人を特別扱いしていては際限がなくなります。
それなのに、この犯人の学生はその教員に逆上した上に刃物で刺したため、「普通」の学生ではないメンタルであることが想像されます。
正直、大学で事務職員をしていると、締切に間に合わなかった場合に提出する裏技が有ることも知っています。
このあたりは、記事に反響があれば書かせていただきます。かなり裏技なので・・・