そんな質問にお答えします。
本記事の内容
- 大学職員の面接のポイント
- 大学無償化ってどんなニュース
弊ブログからは、2019年だけでも6月23日時点で28名が大学職員へと転職しました。
2018年の16名と合算すると、累計44名が大学職員へ内定しています。
そんな実績の弊ブログが、大学職員の面接対策として最近ホットなニュースをお伝えします。
2019年10月から「幼児教育の無償化」が始まる予定ですが、2019年5月10日に、大学無償化法(大学等における就学支援に関する法律)が成立、2020年4月から実施となっています。
日本学生支援機構(JASSO)が改定した「新給付型初学金制度」との組み合わせにより、大学などの高等教育にかかる入学金・授業料を減免するとしています。
新しくできた制度での「大学無償化」とはどのようなものでしょうか?
現役の大学職員が、解説させて頂きます。
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大学無償化とはどういう仕組み?
まず、今の大学などに通う学生の現状を見ましょう。
平成28年度に日本学生支援機構が発表した「大学生活調査」によると、「学生生活費(学費と生活費)」について、1年間で約188万円という結果が出ています。
学費負担の割合についても調べたところ、
- 家庭からの負担:約60%
- 奨学金利用:約19%
- アルバイト:約18%
という結果報告が出ています。
2年おきの調査ですが、「家庭からの負担」と「奨学金利用」は減少傾向なのに、アルバイト代で学費を出そうとしている学生が増えているという傾向が強くなっています。
家庭の経済事情などで「高校よりさらに勉強をしたいけれどあきらめようか」という学生を支援する為に「大学無償化法」が成立しました。
この制度は、国からの減免と日本学生支援機構が行う「給付型奨学金の利用枠拡大」によって、行われます。
大学無償化の基本的な措置について
大学無償化としていますが、正確には「減免」措置です。
大学無償化の対象になる学校は、大学・短期大学・高等専門学校・専門学校としています。専門学校については、大学とほぼ同じ学費となる学校がある為に対象となりました。
無償化とする対応としては、
- 入学金・授業料の減免制度創設
- 日本学生支援機構が行う「給付型奨学金」の給付枠拡大
国と日本学生支援機構の2本柱で、学生の入学金・授業料の減免を行うとしています。
ただし、申請及び対象となる学生は、原則として
- 住民税非課税世帯(年収基準として約270万円)
- 非課税世帯に準じる世帯(約300万〜約380万円)
を対象としています。なお、基準年収については、両親・本人・中学生の4人家族をモデルとし、各家庭構成は考慮されます。
現在のところでは、私立高校などでは世帯年収などによって県や市から授業料の補助が行われています。
ただ、大学では日本学生支援機構の毎月の貸付がメインであり、いままで授業料の補助というのは特段行われていませんでした。
ただ、今回の法案が成立したことにより、大学進学がいままで厳しかった方々に、サポートが行われるようになったと言えます。
【面接対策】『大学無償化』を大学職員の視点から読み解くコツ
大学職員の面接で大切なのは、『その政策を理解すること』もそうなのですが、『事務職員としてその政策が仕事にどう影響してくるか』を理解することです。
『大学無償化』における大学職員としての仕事
- 『減免』と『給付』があり、『減免』は大学への申請となっているので、事務職員が対応することになる。
- 成績不振者は打ち切りとなるが、その警告は大学(事務職員)が行うと決められている。
- 成績で打ち切りが決まる為、その成績を決めるまでのプロセス(シラバスや講義内成績の管理)を厳密に管理し、証憑として残しておく必要がある。(ほとんどが事務職員の仕事。)
- 学生が打ち切りとなった場合、保護者・学生の一次対応は大学(事務職員)が行う可能性が高い。
ざっと考えただけでも、事務職員が関わる分野が非常に多いのが、今回の『大学無償化法案』です。
例えば、減免措置を打ち切る条件としては、文部科学省の大学無償化法案の説明PDFには、以下のように記載されています。
次のいずれかの場合には、大学等が 「警告」を行い、それを連続で 受けた場合には支援を打ち切る。
ⅰ 修得単位数が標準の6割以下の場合
ⅱ GPA(平均成績)等が下位4分の1の場合 (斟酌すべきやむを得ない事情がある場合の特例措置を検討中)
ⅲ 出席率が8割以下など学習意欲が低いと大学等が判断した 場合
大学の教員は、教育と研究がメイン業務なので、このような集計は教員の仕事ではありません。
そなると、これらの集計や学生の通知は、事務職員がやることになります。
また、GPAの管理やシラバスが証憑となりうるような整備と点検も事務職員の仕事です。
つまり、大学無償化法案は、事務職員の仕事が確実に増えるということを意識しながら、経済的な問題で大学に進学できなかった学習意欲の高い層を確保できるというメリットを理解する必要があります。
ただ、本来なら潰れたほうがマシな大学がこの法案で救済される可能性もあるため、文科省では対象となる大学を指定することになっているため、そのリストの確認は必須です。
事務職員がどんな仕事をしているか、以下も併せて読みながら本法案について勉強してみてください。
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給付型奨学金併用によって注意したいこと!
「大学無償化」での給付型奨学金については、返済不要のかわりに高校の成績だけで判断せず、レポートなどで評価されます。
すでに5月から高3生が「自分が給付金型を利用できるか」を日本学生支援機構の特別サイトから確認でき、親御さんと一緒にサイトを見ることができます。
対象者で親御さんの了承を得れば、学校で申込書をもらい必要事項記入の上、提出となります。
しかし、給付型奨学金が使える大学などは、2019年夏以降に公表としています。「国からの確認を受けた学校」としていますが、進学予定先が適用かわからないまま申し込みとなります。
減免措置が適用の金額は? 非課税世帯に準じる世帯は?
「住民税非課税世帯(約270万円)」を例にします。私立大・自宅外通学とした場合での初年度分の内訳は
- 国からは入学金26万円・授業料は年額70万円
- 給付型奨学金として、自宅外通学生として約91万円
合計年187万円が減免金額となります。奨学金が自宅生と自宅外生で差額は出ますが、学生生活への配慮として、自宅外生はやや増額されます。
非課税世帯に準じる世帯されている家庭についてはどうでしょう?
300万円と380万円で区切られることになりますが、
- 300万円台世帯:国と奨学金は各非課税世帯の2/3
- 380万円台世帯:国と奨学金は各非課税世帯の1/3
を減免するとしています。
減免を受けられる適用範囲は要注意!
大学無償化については、「住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯」という所得制限があります。
すでに大学などに進学している学生は、条件があえば、利用可能です。
しかし、適用されるのは、入学金と授業料のみで、施設費や教科書代、部活費用などは適用外です。
また、大学へ進学した学生が「大学院にも進みたい」としても、今回決まった「大学無償化」では大学院の学費は、適用外となります。
適用を受けられても、素行次第で打ち切りとなることもあり!
大学無償化は、「金銭面で厳しいけれど、進学はあきらめたくない」と考える高校生を救済する制度です。
厳しい審査の上で、減免措置を受けるので、「大学無償化」の主旨上、「成績不振である」とみなされると、一度警告が行われます。
それでも、改善されない場合は、減免を打ち切るもしくは学費を徴収するとしています。停学や修学年限を超える場合も、打ち切り対象となります。
財源が消費税増額分であることと、厳しい審査を行って選ぶという制度上、打ち切りを行うことがあることは忘れてはいけません。
『大学無償化法案』のまとめ
2020年から始まる「大学無償化」は、非課税世帯や低所得者の家庭にとっては救いの手になることでしょう。
しかし、減免対象となるのが、入学費とその後の授業料のみです。授業料減免を維持していくには、入学後は勉学に励むことが重要になります。
非課税世帯のみに適用となっていますが、共働きでも大学などの進学に悩む家庭は多いので、適用条件を広げて欲しい制度であるとも言えます。