昨日のブログで、
千葉大学の学則上は、3月31日までであれば学長決裁で卒業を認めないことができる。ただ、その決裁の理由には、「学生懲戒委員会」で当該学生の処分の決定が必要であり、それには時間がない。
と私自身、結論付けていました。
しかし、
少女誘拐容疑の男性、千葉大が「卒業認定」「学位授与」取り消し、卒業を留保(Yahoo!News)
と報道されているようです。
さっそく、千葉大学の公式発表をみると、
「学年は、4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。」(千葉大学学則第14条)
との条文を適用したようですね。
また、昨日のブログでも指摘した、
「3 卒業の認定は,学年又は学期の終わりに,当該学部の教授会の意見を聴いて,学長が行う。」(千葉大学学則第49条)
という条文も本件に関わっているように見えますが、
実際のトコロは、
3月29日(火),工学部の教授会において,本学の「学位授与の方針(※1)」では,社会規範の遵守を求めているところ,当該学生の行動は懲戒処分事由(※2)が疑われ再考の必要があるため,一旦,卒業認定及び学位授与を取り消し,卒業を留保することを決定しました。
と千葉大学公式発表にあるとおり、
「学部教授会」
の決定により、「卒業保留」に至ったとの経緯が書いてあります。
大学というところは、民間企業とは意思決定のプロセスが全く異なり、
学長・理事長(社長)が学部(社員)に言うことを聞かせる
なんてことをすると、学部から猛反発を喰らいます。
「学部の自治の侵害」
というヤツです。
最も素晴らしいとされているのは、
学部(教授会)の決定→学長が承認
あたりでしょうか。
(この辺の意思決定プロセスについては、いずれ書きたいと思ってます。)
なので、今回の決定は、大学の意思決定プロセスにおいて最もキレイですね。
もちろん、「容疑者の段階でこのような決定をするのは法的に難しい」としていた、
千葉大学法政経学部の専門家の意見もありましたが、
「学部の独立・自治」
から考えると、その決定を覆させるのは不可能です。
他部署(学部)の意思決定に介入することは絶対にできません。
この辺の感覚は、大学で働かないとなかなか理解できないかもしれません。
また、千葉大学工学部規定を読むと、
(卒業認定)
第16条 本学部に4年(本学部に転部した学生にあっては,当該転部までの在学期間を含む。)以上在学し,卒業の要件として修得すべき単位を修得した者には,卒業の認定を行う。(千葉大学工学部規定)
とあることから、その工学部教授会の判断を踏まえ、
「3 卒業の認定は,学年又は学期の終わりに,当該学部の教授会の意見を聴いて,学長が行う。」(千葉大学学則第49条)
上位規定である学則に基づいて学長が決定したというプロセスで、今回は「卒業保留」になったと考えて頂いて結構です。
久しぶりに他大学の例規をいくつか拝見し、私自身、規定の関係性を認識させる事件でした。
今日はこちらで。